新しいプレイ
今週のお題「激レア体験」
今から3年ほど前の話になる。
私はその年大病を患い、その日は最終検査の帰りだった。
もうほとんど再発の心配がないこと、辛かった治療が終わったことで足取りは軽かった。
新横浜の病院を後にして菊名で電車を乗り換えるときに、その奇跡は起こった。
奇跡？偶然？ラッキー…？とにかく私の中では「激レア体験」だった。
電車が来るのをホームで待っていたが、ふと前を見ると高身長のスラリとした男性が立っている。連れの男性も一緒だ。
後ろ姿からも一般人とは少し違う"かっこいい男”のオーラが漂っていた。
連れの男性と話しをしている時に横顔を確認することができた。
…どこかで見た顔…。
…
長岡亮介さんだ。
日本のトップギタリスト。東京事変の浮雲といえば知っている人も多いのではないか。
驚きで時が止まっている中、電車が到着して扉が開いた。
「あぁ…まさか同じ電車に乗っていくなんて…」
電車に乗ると私は長椅子の前に立ち、長岡さん達は扉の前に立った。
その距離わずか2ｍほど。
「好きな芸能人に街中で出くわすことはあれど、まさか同じ車両に乗り合わせてこんな近くにいるなんて…」
私は彼の熱心なファンであった。
大病を克服したご褒美を神様が授けてくださったとしか思えない！！！
私の降りる駅は武蔵小杉だった。
着くまでの長いようで短い不思議な時間、私は自分の存在を印象づけるかのごとく彼に視線をチラチラ送った。
2ｍという短い距離でそれはすぐ気づかれたが、彼は「この子なんだろう」という若干不審者を警戒するような感じで気づいていないふりをした。当たり前である。
「あぁ！この車両に乗っている人は誰も彼の存在に気づかないのか！年末の紅白にも出るし、星野源のバックでいつも演奏しているというのに！！」
私は心の中で叫んだ。
もちろん声をかける勇気なんてなかった。というかこんな密室の中で声をかけたら迷惑になる。
電車を降りるまでの数十分、私はいろいろな妄想をふくらませ彼を盗み見することに徹した。心臓はすごい強さで内からドンドンと鳴った。
彼はテレビで見るよりずっとダンディでセクシーだった。
それは私にとってとても甘美で、切なく、もどかしく、夢心地の時間だった。
新しいプレイ誕生の瞬間である。
電車が武蔵小杉に着いた。
もし、もし長岡さん達が武蔵小杉で降りるようなことがあれば「ファンです。いつも応援しています。」ぐらい声をかけようかとも考えていた。
しかしそう運よく彼らは降りることはなかった。
最後に目線を送った後（しつこい笑）、私は電車を降り彼らを乗せた電車を見送った。
もう二度とお目にかかれることはない。あぁ…胸躍る時間は一瞬で終わってしまった…。
勝手に失恋した気分で駅を後にした。
その後メディアで長岡さんを見るたびにあの時の幸福な記憶が蘇ってくる。
あの時声をかけていたらどうなっていただろうか？
きっと優しく微笑んでくれたに違いない。
『幸せのちから』鑑賞記録（※ネタばれあり）
お題「#おうち時間」
在宅勤務＆外出自粛が始まって早一か月ほど…。
最近は「映画館に行きたい！」という気持ちすら心の奥底に封印された日々です。
普段はマイナーな重暗い映画を選びがちな私ですが、こういう時にまでそういった作品を選ぶのもなぁなどと考え。（隣でゲームをしている怖がりな夫が、ふとした瞬間にヘッドフォンをはずし画面にヘビーな映像が映っているのも何か気まずいというのもあり笑）
「これはハッピーな気持ちになれるに違いない！」と、めちゃポップそうな『メリーポピンズ リターンズ』をプライムビデオでポチッ！
開始15分ほどでリタイア。
どうも今の自分の心境と合わなかったようです。
（きっととても良い作品。ごめんなさい）
ふと数年前から気になっていた『幸せのちから』を思い出し、再度プライムビデオでポチッ。
大当たりでした！星５つ！☆☆☆☆☆
自分の中でウィル・スミスとトム・ハンクス主演作品は期待を裏切らないという確信がありますが今回もそうでした。
映画の始まりで「－この作品は実話に基づく…」と字幕が出たとき、ノンフィクション好きの私は「あぁ！自分ってやっぱり勘がいい！」とガッツポーズ（既に最初にチョイスを間違えているのですが笑）
ストーリーをざっと話すと、主人公のクリス・ガードナー（実在の人物で実業家）は妻と子供三人で暮らしていたが仕事が上手くいかず家賃を払うことさえできないどん底の生活をしていた。あるきっかけからクリスは一流証券会社の無給インターンに挑戦することに…。といった感じのストーリーです。
この作品が気になっていた理由が二つあります。
1. いつもバトルばっかりしているウィル・スミスの作品ばかり観ていたので冴えないセールスマン役というのに興味をもった。
2. 息子役のジェイデン・スミス君とは実の親子！（おそろしく可愛い。癒し）
という点です。
正直、ここまで不運続きの主人公を見たことがありません…。
嫁に出て行かれます、商売道具（骨密度を測る高級機械）はヒッピー女とホームレスに盗まれる、からの仕事の休憩中に車に轢かれて靴なくす。あげくの果てには家賃払えず家追い出されて息子とホームレス暮らしです。
当時のCMにもあった、主人公が息子と公衆トイレで寝泊まりしているシーンは印象的でした。
これ以外にも「あ！今度こそ光が見えてきたかな！」と思っても大小様々な不運が続きます。
あーもう見てられない！！
なんせウィル（ウィル呼び）だし、一所懸命だから余計辛いんだよ…。
そんな中で主人公と息子のシーンは本当に優しくて暖かくて心がほっとします。本当いいお父さんなのよ。
嫁が「息子を連れて出ていく」と言った時も自分が育てるといって一歩も引かなかったし、息子だけでも安全な施設に預けられそうなときも「一緒じゃないと意味がない」と離れない。
子供の為にと離れ離れになるストーリーはよくあるけれど、こういう何があっても絶対に一緒だっていう親の姿勢、大変な思いはしても子供は一番嬉しいんじゃないかな。
すごくシンプルにハッピーエンドを望みました。なのでラスト、辛い無給インターンを終えて一流証券会社に合格を言い渡されたシーン（20人中1人しか合格できない）、「やったー！！」とリアルに一緒に拍手！
本当によかった。よかった。よかったよ。清々しいラスト！
この作品を観て、今自分に仕事が与えられている幸せというのを改めて感じました。
正直今の仕事に大したやりがいも面白みも感じていませんが（言うなぁ笑）、やはり今自分の身の回りにある物も人も事も恵まれている証拠。当たり前に存在しているわけではないですね。それは今回の自粛生活をしていても感じることが多くなりましたが。
もう一つは、作品のようにどん底にいる人でも何か一つ秀でたものがあれば一発逆転できる可能性を秘めているということ。（主人公は数学が得意でビジネス成功のチャンスを掴みました）実在のクリス・ガードナーさんは後に自分でもビジネスを始めて成功されているようです。
作品を観ながら、自分が同じ立場に立たされたらどうするだろう。あぁ自分には何もない…。
だからコツコツ頑張る。何もないからこそ与えられた仕事を精一杯やる。
「在宅勤務って意外と疲れる～。しんどい」なんて言ってられない。
明日からも頑張ろう。
そんな風に思えた作品でした。また数年後観たくなりそうだなぁ。
『キャプテン・フィリップス』『ザ・ウォーク』に続く、誰にでもおすすめしたくなるムービーリストに追加決定☆☆
乱文、最後までお読みいただきありがとうございます。
自己紹介
はじめまして。しいぽつ日記のしいと申します。
この度はてなブログでブログをスタートすることにしました。
理由はいたってシンプルです。
自宅待機が続いている現在、あまりに暇で…大好きな映画館に足を運ぶこともできず、
家で映画鑑賞をすることが一気に増えました。
せっかくなら自分の記録として残しておこうと。そのような次第でございます。
映画鑑賞記録以外にも、自分の好きな音楽、ファッション、暮らし、雑談等ぽつぽつと綴っていけたらなと目論んでおります。
昔から言葉が好きで自分でも何か書いてみたいと思っていましたが、いかんせん文才がない。そのうえ人様に発信できる何かがあるわけでもない。
ブログ（日記）ならそのような人間の拙い文書でも許されるのではないか…とおそるおそる始めております。
私の身分をざっくり説明させていただきますと、31歳既婚女性（夫と二人暮らし）、東京在住、派遣の事務員という…わざわざ説明するまでもない平々凡々な人間です。
とまぁ、こんな具合ですがブログを通して皆様と少しでも交流できましたら大変嬉しく思います。
よろしくお願いいたします。
